(いただいた本から)
『「現在」に挑む文学―村上春樹・大江健三郎・井上光晴ー』松山愼介著
「10・8山崎博昭プロジェクト」の関西運営委員会の世話人をしているN氏から新著をいただいた。
表題の『「現在」に挑む文学』について、
「『現在』においては、我々が対決すべきものの姿は明白ではない。一九六八年を中心とする時代においては、敵はアメリカのベトナム戦争を支持する日本の国家権力であり、その具体的現れとしての警察機動隊という暴力装置であった。だが八〇年代から現代にかけて世界のグローバル化は一段と進み、『現在』の敵は不可視のも(の)となっている。この『現在』と対決するものとして文学の役割は大きい。むしろ文学こそが、その役割を果たせるのではないだろうか」
と語り、3人の文学者を論じている。
一読し、村上春樹と同時代にキャンパスの空気を吸っていたことをあらためて思い起こしながら、筆者の克明な読み解きに感心した。さらに井上光晴について谷川雁との交流、政治と文学について考えさせられた。
出版社の紹介文から
●内容紹介
世界史の構造が生々しく、劇的に変化する現代社会。遠い世界の出来事が日々、この島国日本にも打ち寄せる。もはや政治だけでは解決できない問題が洪水のように存在する時代になった。個人が世界と向き合う時代である。 著者は、村上春樹・大江健三郎・井上光晴、3人の作家が「現在」にどのような姿勢で挑んでいるのかをテーマに、「死と戦争」について深く思索する。あらためて今日的な文学とは何か、という視点も提起している。 ー――今日を生きる若者へーーー 政と性と生の「現在」をえがいた三人の作家。“日本"“戦争"“個人"の時代が立ち上がる痛快な文学的入門書。
●内容(「BOOK」データベースより)
今日を生きる若者へ!!―政と性と生の「現在」をえがいた三人の作家。“日本”“戦争”“個人”の時代が立ち上がる、痛快な文学的入門書。
単行本: 374ページ
出版社: 響文社 (2017/1/13)
言語: 日本語
ISBN-10: 4877991298
ISBN-13: 978-4877991296