2022年9月8日木曜日

拙著『謀略の影法師ー日中正常化の黒幕・小日向白朗の生涯』を紹介していただきました。

 拙著『謀略の影法師ー日中正常化の黒幕・小日向白朗の生涯』を紹介していただきました。

 「新聞之新聞」(2022年8月25日)筆者は前坂俊之さんです。



2022年7月20日水曜日

(いただいた本から)『人生、晩節に輝く』(前坂俊之著、日本経済新聞出版)

 (いただいた本から)『人生、晩節に輝く』(前坂俊之著、日本経済新聞出版)

毎日新聞時代の先輩、前坂俊之さんから送られてきました。

「何歳になってもヨーイドン(出発)できる。私はヨーイドン教の教祖なのよ」(98歳まで生涯現役を貫いた作家の宇野千代)

定年なし、年齢差別なしの米国では、

65~74歳をベビー・オールド(赤ちゃん老人)

75~84歳をリトル・オールド(小さい老人)

85~94歳をヤング・オールド(若いお年寄り)

95歳以上(真の高齢者)

と、呼ぶ人もいる。

 「老害」ではなく、「老益シニア」として再出発しようと前坂さんは語り掛けています。

・「人の生涯を重くするか、軽くするかは、一にその晩年にある。人は晩年にある。人は晩年が立派でありさえすれば、わかいうちに多少の欠点があっても、世間はこれを許してくれる。私は輝かしい晩年を社会貢献をもって締めくくりたい」(渋沢栄一)

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【内容紹介】

年齢を重ねて、さらに輝きを増す生き方とはどのようなものか――。凜々しく、清々しい晩年を送った先達の人生から、良い生き方を学ぶ好読み物。

・人生100年時代を迎えるにあたり、シニア世代となってから、どう良く生きるかは私たちにとって大きな課題となります。本書は、老齢となっても活躍した人々のドラマをオムニバス形式で描きます。

・経済人、政治家など、立場は違えど人生終盤に輝く人々には、地位や権力、金などに執着せず、柔軟な精神をもってことにあたるなど共通点も多くあります。その凜々しく、清々しい人生の物語は読む者の心を動かします。

【目 次】

第一章 エジソンも絶賛した日本の元祖ベンチャー起業家 御木本幸吉

第二章 社会事業を無上の楽しみとした「日本資本主義の父」 渋沢栄一

第三章 順境で悲観し、逆境で楽観した石油王 出光佐三

第四章 「玄黙戦略」で昭和天皇の「聖断」を演出 鈴木貫太郎

第五章 終戦を陰で実現させた昭和の傑僧 山本玄峰

第六章 ユーモアを絶やさず、マッカーサーと渡り合う 吉田茂

第七章 マイナスをプラスにする発想転換法で逆転人生 尾崎行雄

第八章 ヒトマネせず、マネされる仕事をした「プロパンの父」 岩谷直治

第九章 創造の神を目指し森羅万象を描き出す 葛飾北斎

第十章 謎に包まれた徳川三代の守護神 南光坊天海

第十一章 「ZEN」の普及で東西文明の懸け橋となった仙人 鈴木大拙

第十二章 七十五歳で復活、経済大国の礎を築いた電力の鬼 松永安左エ門

第十三章 病気と仲よくつき合い、感謝と努力で経営の神様に 松下幸之助

第十四章 人類を飢餓から救ったミスター・ヌードル 安藤百福

第十五章 八十代でも陣頭指揮を執った「トマトの父」 蟹江一太郎

第十六章 六十、七十歳は鼻たれ小僧、男盛りは百から、百から 平櫛田中

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2022年6月21日火曜日

ご案内。「炭都の暮らしと文化ーー昭和の三池・大牟田」が6月4日から7月10日まで大牟田市石炭産業科学館で開催中です。

「炭都の暮らしと文化ーー昭和の三池・大牟田」が6月4日から7月10日まで大牟田市の石炭産業科学館で開かれています。

チラシの写真は、中心部にあったデパート松屋の屋上遊園地の光景です。

ああ、懐かしい!。 







 

2022年5月16日月曜日

(いただいた本から)『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』(加藤典洋、小浜逸郎、竹田青嗣、橋爪大三郎ほか)

 (いただいた本から)『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』(加藤典洋、小浜逸郎、竹田青嗣、橋爪大三郎ほか)

 30年以上も前の1992年2月22日、厳冬の高野山で村上春樹をめぐる「ライブ討論会」があった。徹夜で熱く語りあったそのときの記録が今月出版され、「タイムカプセル」のように届けられた。

 1992年とはどんな年だったのか。日本経済のバブルが弾け、冷戦が終結し、「失われた30年」が始まったころだ。混迷する時代のなかで、多くの人が手探りで生き方、考え方を模索していた。

 そこで、そのころの時代の空気を濃厚に反映し、広く読者に受け入られていた村上春樹の作品を手掛かりにして、団塊の世代の論客たちを中心に、時代とどのようにかかわっていくのか、徹夜で語り合ったのだ。

 その後、オウム真理教、阪神大震災、「9・11」からのアフガン、イラク戦争、さらに東日本大震災など多くの事件が起きた。あれから30年、どのように考えて、生きてきたのか、あらためて考えさせられる。

 橋爪氏はいう。

 「いまの時点から当時をみると、こう考えるべきだった。こう行動すべきだった、と思いつく点が多くある。30年の時を経るから、誰でも気がつく。しかし当時、時代の渦中にいた人びとが、それを気づくのは容易でない。この30年、無為でいたわれわれが、どれだけの機会を失ったのか、思い至るだろう。」と。

 さらに「ひるがえって、現在もまた、現在の意味を気づくのが容易でない時代だ。いや、むしろ困難は深まった。」として、「過去」に軸足を置いて、歴史の方向を見つめる意義を強調している。

 私を含め、団塊の世代が後期高齢者世代になり、時の流れにのみこまれていく姿を改めて見つめさせてくれる本だ。

(而立書房刊、2200円+税)

 恥ずかしながら、当時の私の記事を添付しておく。討論の内容をうまく伝えきれていないことを思い知らされる。




2022年5月14日土曜日

(いただいた本から)『ルポ 大阪の教育改革とは何だったのか』(永尾俊彦著、岩波ブックレット)

 (いただいた本から)『ルポ 大阪の教育改革とは何だったのか』(永尾俊彦著、岩波ブックレット)

 
  改革すればするほど、「改善」でなく、「改悪」へ――

 大阪の教育改革を振り返って検証しているが、教育行政が生徒や教師の間で「差別をシステム化している」という指摘を重く受け止めなくてならない、と思う。私の短いコメントも掲載されている。


<出版社の案内文から>

低迷する大阪を教育で立て直すーー。二〇〇八年、知事の「教育非常事態宣言」とともに始まった数々の改革ーー頻回のテスト、学校統廃合、特色ある学校づくりなどーーは現場をどう変えたのか。コロナ下で市長に「学び合う学校」への転換を提言した校長をはじめ、教師、保護者たちの声からこの一〇年を検証する。

580円+税



2022年4月18日月曜日

 

『待ってたぞ! 美術館 大阪中之島美術館開館に寄せて』 中之島芸術文化協議会 編 (著)


一文を寄せました。

2022年2月10日木曜日

2022年3月の読書カフェのご案内。森田真生『計算する生命』(新潮社、2021年4月刊)

 読書カフェ案内文です。

次回の読書カフェは2022年3月26日(土)午後5時から、取り上げる本は、森田真生『計算する生命』(新潮社、2021年4月刊)です。


著者は、前著『数学する身体』(新潮文庫)で小林秀雄賞を受賞しています。『計算する生命』はその続編といったものですが、著者が語ろうとしていることは、人間がいかに数を使って計算し、数の概念の拡張し、計算を進化させ、認識を拡張してきたか。そして人工知能に至る今日、数学する・計算することの意味を私たちに開示してくれます。

(出版社紹介文)

「人が機械を模倣する」計算が加速し続ける現代にあっても、人は、記号を操って結果を生み出すだけの機械ではない。思考し、意味を与え、現実を新たに編み直し続ける「計算する生命」なのだ。小林秀雄賞受賞作『数学する身体』から5年。若き独立研究者が迫る、機械と生命の対立を越え、計算との新たな関係が形作る未来とは。




2022年1月30日日曜日

(いただいた本から)『アルファベット遊戯』青池薔薇館、澪標刊

 『アルファベット遊戯』(青池薔薇館、澪標刊)

アルファベットの文字から自由自在に発想をめぐらした味わい深い詩文集。

はじめに「英字ビスケット」にふれてこうある。
・・・
英字ビスケットは定番のおやつだった
たぶん、あれでアルファベットと出会ったのだろう
お絵描き張に何度も書いて覚えるのだが
漢字より易しいのですぐに頭に入った
・・・
子どもの頃に食べた英字ビスケットを懐かしく思い出しながら、愉快なエッセイの数々をたのしませてもらった。概要は次の目次のとおり。

 筆者には、まだお会いしたことがないが、こう紹介されています。
1954年 東京に生まれる。
本名 Seiji Muto
1992年より2020年まで、28年間の高知暮らしを経て、現在、比叡山の麓に棲息中。

出版社 ‏ : ‎ 澪標 (2021/12/24)
発売日 ‏ : ‎ 2021/12/24
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 80ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4860785274
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4860785277

定価 1800円+税



2022年1月20日木曜日

(いただいた本から)『芸術のルール 倉本修画文集』(七月堂)

 『芸術のルール 倉本修画文集』(七月堂)

詩人で装幀家の倉本修さんから。いささか難解だが、含蓄のこもった画文集。ひょっとしたら、世界を見つめる眼差しを考えさせてくれ、さまざまな発見につながりそうだ。

<出版社の案内から>


黙示し隠る[画と文]。群を抜く泥濘の中を抜け あなたは□型・○型・△型のヒントを孕む「芸術のルール」を発見するだろう。栞・阿木津英/小池昌代/宗近真一郎/四元康祐

高貴にして、卑俗、卑俗にして、高貴。これが倉本修と最初に会ったときの印象であった。

そして奇妙なことに(と言うべきだろうか)、それがこの散文集を読んだあとの印象でもあった。

文は人なり、人は文なり、と言うべきであろうか。(吉田文憲)


2 箱の中の玉葱
[Onion]

玉葱をユリ科に分類することは、
トラをネコというようなものだ。トラが立派なように
彼女はユリより美しく、橙色の薄皮をまとい燦然と輝くその姿は、
戦旗を翻すオルレアンの乙女のように勲しい。
10センチ程度の立方体の箱の中には一つの子窓があり、皮を剥かれ
た一つの玉葱が見える。正確にはその表被、彼女の白い肌のきらめき
が見える。豊かな収穫の成果を誇る張艶、眩しいばかりの輝きはちょ
うど高麗の陶磁器のようだ。
 触ってみたい、匂いを嗅ぎ、頬ずりしてみたいと誰しも思う。しか
し、彼女は地下茎の女。体内にはちいさな虫を多く内包している。迂
闊に顔を近づけたりしたら、それなりの感染があるだろう。玉葱は茎
に養分をたくわえた葉が何層にも重なったものだから、虫たちはその
各々の透き間に棲むことになる。
 いちばん外の葉から順に、中肉厚虫、肉厚虫、極肉厚虫そしてそれ
らは逆転しつつ、最後には玉葱の芯に到る。虫は芯には辿󠄀り着けない
が、やわらかで芳しいその芯は彼女の精神を形成し、静かに虫以外の
何ものかを受け入れる準備をしている。虫が棲めないはずのそこには、
放角線上に美を貶め諜る小さな何かがいる。何もの?
 彼女は一人一つの箱に棲まいする。特別な栽培? いや、そのよう
なことはない。風が強いと箱との軋轢が起き、僅かな摺音が聞こえる。
彼女の白い肌が傷つかないように、かの乙女の如くしなやかで堅牢な
コートを羽織っていただかねばなるまい。


26 子どもの風景
[The landscape of the child]

よし、という声が聞こえる。かれは紐を引っ張った。その紐が言う。
わたしは息の吸い方を知らない。
わたしは息の吐き方を知らない。
わたしはわたしを支えるべき、なにもかもを知らないのだ。
紐曰く、そも「わたし」とは何なのだ?
 あらかじめ設定された張力の限界を超えたとき、かれはひきち切れ「息の止め方」をはじめて知るのだろう。
 子どもらは、猿にしか興味を示さない。猿に導かれ立派な猿に育つまでの一本の川。その川筋に添うように流れ刻される幾重の轍がみえる…遊戯の跡、病みの跡、戦慄の跡、名をもたない多くの痕跡がある。
喉頭の痛みゆえに、口を噤む猿たちのなんという愛おしさよ。
 「わたしが42年前に受け取った手紙を再び開く気になったのは、不思議な羽根つき猿を見たからです。恐ろしく危険なその生き物は、ばらばらになることで一瞬にして闇に消えてゆきました。それが何なのか、わたしには推し測ることが出来ないのです」アルフレッドは述懐する。
 歳月をかけたちいさな川は大河と合流する。流され、沈んでいった羽根つき猿の残骸は、其処此処に浮かび上がり漸く光りを得る。それらを手にとり、かれは河を憎み涙し、そして嘔吐するだろう。
 わたしはそろそろ此処を去ろうと思う。羽根をもたない息子と二人。
 昊は笑って見送ってくれるだろう。

画文集
2020/05/30発行
A5判変形 148X180 並製

1,980円(税込)