2015年11月28日土曜日

「歌」の精神史

(お送りいただいた本から)

「歌」の精神史
山折哲雄 著

 2006年8月に中公叢書として刊行されたものが、このほど文庫となった。
文庫版のあとがきに
「あらためて、この国では一年が、正月の「歌会始」ではじまり、年末の「紅白歌合戦」で暮れる年中行事のくり返しで運行されていることを思わないわけにはいかない。「歌」はいぜんとして時代を映し出す鏡、時代の「精神」を照らし出す光源でありつづけている」
とある。
 冒頭の第一章「空を飛ばなくなった歌ー美空ひばりと尾崎豊」など、情感あふれる文章に改めて魅了させられた。

日本の伝統的詩歌と歌謡に底流する生命の昂揚感と無常観。万葉以来の生命のリズムであり、魂の躍動を促す叙情の復権を説く力作論考。

内容(「BOOK」データベースより)
いま、叙情が危ない。われわれのこころの世界が乾き、叙情を受け容れる器が水漏れをおこしているのではないか。叙情とは、万葉以来の生命のリズムのことだ。日常の言葉を詩の形に結晶させる泉のことだ。それが危機に瀕しているのは、歌の調べが固有のリズムを喪失しているからだ。いまこそ、「歌」の精神を取り戻すときではないか。


文庫: 257ページ
出版社: 中央公論新社 (2015/11/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4122061989
ISBN-13: 978-4122061989
発売日: 2015/11/21

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