2018年9月21日金曜日

(いただいた本から)今村欣史著「触媒のうたー宮崎修二朗翁の文学史秘話」

今村欣史著「触媒のうたー宮崎修二朗翁の文学史秘話」

 神戸新聞の記者として兵庫県の文学界を中心に活躍されてこられた宮崎修二朗氏の貴重な証言を記録した文学談義を収めている。昭和33年に「のじぎく文庫」という異色の地域密着型の出版機関を立ち上げたほか、民俗学者・柳田国男氏の自叙伝を口述筆記されたり、足立巻一氏や田辺聖子氏など多くの文人と交流を持ってこられた宮崎翁は、文人と文人、文人と社会、文人と読者との間をつなぎ、そこに幾多の化学反応を起こした「触媒」だった。
 そんな宮崎翁と出会った今村氏は宮崎翁の言葉を「うた」として記録し、表現している。宮崎翁の人間的な魅力に惹かれた文人達たちの秘話の数々。今村氏は熱い思いで受け止め、文学史の貴重な記録として歴史に刻んでいる。心温まる書である。

神戸新聞総合出版センター刊
定価 1800円+税

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