2020年9月12日土曜日

(いただいた本から)『吉本隆明と「二つの敗戦」-近代の敗北と超克ー』(新装増補版)

 『吉本隆明と「二つの敗戦」-近代の敗北と超克ー』

とよたもとゆき著

“戦後最大の思想家”と呼ばれる吉本隆明。しかし、晩年の彼は明らかに引き裂かれていた。

彼は「二つの敗戦」を体験している。

ひとつは、二十歳のときに、太平洋戦争の敗戦。この「第一の敗戦」は、近代戦争のなかでの敗戦だった。

もうひとつは、晩年の今世紀初頭に迎えた敗戦。貧困、格差社会、親の子殺し、子の親殺し、集団自殺、心の病い……彼は時代の病いを鋭く受けとめ、「第二の敗戦期」と呼んだ。福島第一原発の事故がこれに追いうちをかけた。それは、近現代の敗戦にほかならない。

そして晩年、意外な慨嘆を率直に遺した。

いったい、彼に何が起こっていたのか。

その「引き裂かれ」を直視し、遺言(「存在の倫理」)を真摯に受けとめることが、「第二の敗戦」(近現代の敗戦)から歩みを前に進める前提になるはずだ。


~本書は、2013年刊『吉本隆明と「二つの敗戦」』(脈発行所刊)が絶版品切れのための[新装増補版]~


○青春時代の不気味な予言

○谷中銀座の庶民・吉本隆明

○「大衆の原像」というOSとその危機

○「関係の絶対性」と「観念の相対性」

○原発と「科学の進歩」

○ハイ・イメージ論とインターネット

○ハイデガーと吉本の技術論

○「史観の拡張」は実を結んだか

○晩年漏らした率直で意外な慨嘆

○「存在の倫理」と贈与


【今回の新装増補版への追補原稿類】

「吉本隆明と小林秀雄」

「谷川雁と吉本隆明」

モノクロ写真(谷中銀座、初音小路)


【目次】

新装増補版 はしがき

序 「二つの敗戦」に直面して

1 「第一の敗戦」でつかんだこと

2 なぜ「反・脱原発」を批判したのか

3 軋みと危機

4 「第二の敗戦」で問われていること

5 「存在の倫理」から「贈与存在の倫理」へ

[補]谷川雁と吉本隆明

[補]吉本隆明と小林秀雄

新装増補版 あとがき

[資料]吉本隆明の言葉と略年譜

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